こんにちは、Mituso(@Mitsuo29817853)です。
親である自分がいつか死ぬことを想像したときに気になるのは遺産相続ではないでしょうか。
パートナー、子供、特に障害をもつ子供のことが心配になる方は多いと思います。
財産をパートナーや子供たちに望んだかたちで渡すためには相続の仕組みも知らなくてはいけません。
また、障害児が成年を迎えている場合は成年後見制度との関係も気になるところです。
法律に則った相続分はどのくらいか、遺書を残すことにどのような意味があるか、障害がある子供にも希望した財産を残すことができるのか、など疑問が尽きません。
ここでは、相続の基本的な仕組むから、遺言(遺書)の種類と効力、相続税、成年後見制度との関わりなどをまとめました。
相続とは?
まずは相続について基本的なことをまとめてみましょう。
「相続」の言葉の意味はこのようになっています。
「相続」とは死亡した人の財産(資産および負債)を、残された人(相続人)が承継すること。
相続というと資産を受け取るイメージだと思いますが、亡くなられた方に借金など負債があった場合、それも相続人が受け取ることになります。
原則として人の死亡によって相続は開始となりますが、行方不明の場合には失踪宣告によって開始となります。
「失踪宣告」とは不在者の生死が7年間明らかでないときに、その人を法律上は死亡したものとみなす家庭裁判所の手続きのことです。
相続人の順序、範囲とは?
では、相続の対象となる人は誰でしょうか?
民法では以下のようにその順序、範囲が決められています。
- 必ず相続・・・配偶者
- 第1順位・・・子
- 第2順位・・・直系尊属(死亡した人の実の父母や祖父母)
- 第3順位・・・兄弟姉妹
ここでポイントなるのは「配偶者は常に相続人となること」、「それ以外は上の順位がいない場合に限って相続人となる」ということです。
つまり、死亡した方に配偶者がいた場合は配偶者は常に相続人となり、それに加えて、子供がいた場合は子供も相続人となります。子供がいない場合は両親や祖父母が相続人、直系尊属もいない場合は兄弟姉妹が相続人となります。
そして、配偶者がいない場合は順位がもっとも高い方が全てを相続します。
ちなみに第1順位の子供ですが、実子や養子(普通養子も特別養子も含みます)も差はなく、どちらも同じ第1順位となります。
「普通養子」
養子が実父母との親子関係を存続したまま、養父母との親子関係をつくる縁組における養子。この場合、養子は実父母と養父母の両方の相続人になる。
「特別養子」
養子が実父母との親子関係を切り、養父母との親子関係をつくる縁組における養子。養子は養父母のみの相続人となる。
相続分とは?
では、相続する割合(相続分)はどのようになるでしょうか?
これも民法で以下のように決められています。
- 配偶者と子供が相続人の場合
配偶者・・・1/2
子供・・・1/2(子供が複数の場合、1/2を等分する。つまり、2人の場合は4/1ずつ) - 配偶者と直系専属が相続人の場合
配偶者・・・2/3
直系専属・・・1/3(複数の場合の考え方は子供と同じ) - 配偶者と兄弟が相続人の場合
配偶者・・・3/4
直系専属・・・1/4(複数の場合の考え方は子供と同じ)
配偶者がいる場合は常に相続人となるだけでなく、相続分も最低でも1/2となるように決められていることになります。
相続人になれない人とは?
この記事を読んでいただいている方の中には障害を持つ子供に相続の権利があるかを気にされている方もいるのではないでしょうか。
民法では以下の場合は相続人にはなれないことになっています。
- 相続開始以前にすでに死亡している人
- 欠落事由に該当する人
これは死亡した人を殺害した当事者であったり、詐欺や脅迫によって遺言状を書かせたりした場合です。 - 相続人から廃除された人
これは死亡した人を虐待していたなどの理由で、請求により家庭裁判所によって相続権が破棄されている場合です。 - 相続を放棄した人
相続人の障害の有無によって相続の可否が変わる、という条件はありません。
障害があっても財産を相続する権利は確保されているのです。
相続はかならず受け取らないといけない?
ここまで民法で定める相続に関して書きましたが、少し目線を変えてみましょう。
相続を受け取ることを前提に書いてきましたが、そもそも全てを受け取らないといけない義務があるのでしょうか?
これはそんなことはありません。
単純に相続する以外にも以下のような方法があります。
『限定承認』
亡くなった方の資産(プラスの財産)の範囲内で、負債(マイナスの資産)を承継する。
相続の開始があったことを知った日から3か月以内に家庭裁判所に申し出る。
相続人全員で申し出る必要がある。
『相続の放棄』
相続分の財産(資産および負債)のすべてを承継しない。
こちらも3か月以内に家庭裁判所に申し出る必要がある。
ただし、こちらは単独での実施が可能である。
遺言(遺書)とは?
ここまで民法に基づく相続について書いてきました。
では、相続分など自分の望むようにできないのか、というとそうではありません。
これから説明する遺言(遺書)は「指定分割」と呼ばれ、相続に関する内容は最優先されることになっています。
よって、民法に基づく相続や、相続人による協議による相続に不安がある場合は何かしらの遺言を残すことにより自分の望むかたちを目指すことになります。
遺言(遺書)のポイント
遺言のポイントは以下の通りです。
- 満15歳以上であれば、誰でも行うことが出来る
- いつでも全部、または一部を変更することが出来る
- 複数の遺言書があった場合、作成日の新しいものが優先される
- 遺言者の死亡前に、遺言により財産をもらうはずだった人が死亡した場合、遺言の効力は生じない
- 遺言者は遺言によって5年以内の期間を定めて、遺産の全部または一部について、その分割を禁止することができる
遺言の種類
遺言(遺書)には次の3種類があり、それぞれ作成方法などに違いがあります。表の中の遺言者とは遺言を残す本人のことです。
自筆証書遺言 | 公正証書遺言 | 秘密証書遺言 | |
作製方法 | 遺言者が遺言の全文、日付、 氏名を自書し、押印する パソコン不可 | 遺言者が口述し、公証人が 筆記する 原本が公証役場に保管される | 遺言者が遺言書に署名押印し、 封印する 公証人が日付などを記入する |
証人 | 不要 | 2人以上 | 2人以上 |
検認 | 必要 | 不要 | 不要 |
補足ですが、公証役場とは全国に300か所ほどある法務局の管轄役場で、公正証書を作製する公証人が配置されているところです。
また、押印する印鑑は公正証書遺言については実印、その他は実印である必要はありません。
これは個人的な意見ですが、遺言を作製したにも関わらず内容に不備があり無効、結局は民法による配分となっては悔やみきれませんので、作成の時点で公証人に見てもらえる公正証書遺言が一番良いのではないかと思います。
相続税とは?
相続税は、相続や遺贈(遺言によって財産が相続人に移動すること)によって財産を所得した者にかかる税金です。
個人的な意見になりますが、残された家族のために配分するお金を税金によって減らされるのはいい気分はしません。
しかし、国のシステムは理解しておく必要はあります。
相続税について詳細を書くとかなり長くなってしまうので、概要とポイントをいくつかご紹介します。
税額のイメージ
相続税はそれぞれが相続した財産総額から基礎控除を行い、その後、各人の法定相続分に税率をかけ、それをもう一度足し合わせ総額を出します。それをもう一度各人に戻し、配偶者や子に応じた税額控除を行うとそれぞれの税額が算出されます。
文章で書くと、ややこしいですし、細かく見ていくと長くなりますので税額のイメージをお伝えしておこうと思います。
配偶者の相続税
先ほどの書きましたが、民法に基づけば配偶者は最も多く財産を相続することになります。遺言を残す場合であっても、配偶者が最も多く受け取る内容になっていることは多いのではないかと思います。
そんな配偶者ですが、相続税はどのようにかかるのでしょうか。
結論を先に書いてしまうと、配偶者にはほとんどのケースで相続性はかかりません!
「全て」のケースではありませんが、以下のケースに該当する場合、配偶者控除により非課税となります。
- 取得した財産が1億6千万円以下の場合は非課税
- 1億6千万円を超えていた場合でも、法定相続分までは非課税
つまり、配偶者が課税対象となるには、まず1億6千万円以上の財産を取得する必要があり、かつ、遺言により法定相続よりも多くの財産を受け取る指定がされていなければならない、ということになります。
これは一般的な生活水準の方からはかなり離れた世界ではないでしょうか?
少なくとも我が家でも全く関係のない話になっています・・・。
子の相続税
次に子供の相続税についてです。
子供については配偶者控除ほどの優遇はありませんが、子供が未成年の場合や、障害者の場合に控除があります。
相続するのは配偶者と子供2人の場合を想定します。
遺産総額が5千万円の場合、子供2人にかかる相続税の総額は10万円です。
これが総額が1億円になると、子供2人にかかる相続税の総額は315万円、一人157.5万円になります。
相続する子供が未成年の場合はここから以下の未成年者控除が入ります。
未成年者控除
控除額=(20歳ー相続開始時の年齢)× 10万円
子供が10歳だとすると、100万円の控除となり、先ほどの遺産総額5千万円のケースだと子供は非課税、1億円のケースだと10歳の子供は57.5千円の税額、ということになります。
また、相続する人が障害者である場合、障害者控除が設定されています。この障害者控除は子供に限ったものではありませんが、話の例としてここに書かせていただいています。
障害者控除
控除額=(85歳ー相続開始時の年齢) × 10万円 ※
(※ 特別障害者の場合は20万円)
我が家の次男の例で行くと、次男は3歳なので控除額は、
(85歳ー3歳)× 10万円=820万円
となることから、遺産総額が1億円の場合でもかなり余裕をもって非課税となります。
ちなみにこの控除額で課税対象とするには、遺産総額が2億円をこえる必要があります・・・。
配偶者に対する控除は別格ですが、障害者に対する控除額もかなり大きいことが分かると思います。
相続と成年後見制度の関わりとは?
ここまで相続に関することを中心に書いてきました。
ここまで書いてきたように配偶者に遺産を多く相続してもらう場合はそれほど大きな問題はありません。しかし、これが知能障害や精神障害のある子供に多くの財産を残したいと思った場合はその状況が変わってきます。
理由は成年後見制度のためです。
成年後見制度は成人を迎えた知的障害や精神障害のある方に後見人がつき、その財産を管理してくれる制度です。
詳しくは以下を参照してください。
日常生活の買い物などは後見人による財産管理の範囲外なので、財産を相続することにより日常生活の心配を少しでも解消してあげたい、ということは可能だと思います。
ただ、財産の管理はあくまで後見人が行うことになり、それが第三者である場合は亡くなった方や相続した本人の意図が通らない可能性はあります。
遺言や相続税の仕組みをよく理解すれば望んだ配分で財産を配分することは可能です。
しかし、財産を障害のある子供に残す場合、今は未成年であっても将来的に成年後見制度を念頭においたうえで、配分などよく検討する必要があります。
まとめ
相続、遺言、成年後見制度についてまとめました。
先ほども書きましたが、相続についてはポイントや注意点がまだ多数ありますので気になる方は調べてみてください。全て書くと膨大な量になりますので、今回は概要のみ書きました。
遺言ときくと身構えてしまうかもしれませんが、自分の意志を残しておくことは早くから考え始めてもいいのかも知れません。
文章でなくても、動画で残せるサービスをロンドンブーツ1号2号の田村淳さんがリリースしています。

この動画に文章の遺言のような法的な効力はありませんが、考え始めるきっかけとしてはいいものだと思います。
今すぐはできなくとも、将来のかたちを考え始めてみるのはどうでしょうか?