先日、すごく後悔をしたことがあります。
家の中で子供と遊んでいた際、長男が次々に新しいおもちゃをもってくるので、片付けてから新しいの持ってきてね、と言ったのですが、片付けられることはなく、ぐちゃぶちゃになっていくリビングに耐えられず、
「片付けられないなら、全部捨てちゃうよ!(-_-メ)」
と怒ってしまいました。
家にいても同じことの繰り返しになってしまうので、長男・次男をつれて公園に行こうと家を出ました。その直後、次男がオムツにウンチをしてしまって、家に戻ることも長男に反対されてしまって、
「だからいつもトイレでウンチしてって言ってるじゃん!(-_-メ)」
と次男に強く言ってしまい、せっかくの公園遊びがあまり楽しくなくなってしまいました。
後になって冷静に考えると、どうしてあんなにイライラしてしまったのか、子供たちもあまり楽しくなかったろうな、と後悔が押し寄せました・・。
こういった後悔を少しでも減らすため、「怒りのコントロール」を意識してみようと思い調べたところ、「アンガーマネージメント」という手法を知りました。
(↑怒りとはどういうものか、怒りのマネージメントの仕組み、その具体的な対処法、仕組み作りなど分かりやすく解説されています。ページ数もそれほど多くないので読みやすかったです)
この本は主に上司と部下、会社での怒りのコントロールを例に書いてありますが、障害児に限らず育児の場合に置き換えて、私も今後実践していこうと思うことをまとめました。
「怒り」とはどういうものか?
「怒り」のコントロールを考える前に、「怒り」はそもそもどういったもので、どのように生まれるものでしょうか。
冒頭で紹介した著書では以下のように説明されています。
「怒り」とは自分を危険にさらす目の前の敵に対して、「戦う」か「逃げる」かという選択をするための命令です。
子供は自分の敵ではもちろんないのですが・・。
こどもの行動や言動が一時的とはいえ自分が思い描く状況や将来とかけ離れていた場合、こどもを「将来をおびやかすもの=敵」として認識してしまい、「戦う」という選択の結果がイライラをこどもにぶつけることになっているのではないかと考えました。
また、著者は怒りの3ステップとして以下のような表現を使われています。
怒りの3ステップ
「出来事に遭遇」 → 「意味づけ」 → 「怒りの発生」
この3ステップから思うことは、「怒り」は条件反射的に発生しているのではなく、自分が出来事に対しての意味を解釈して、その結果、生まれるものであるということです。
そうすると、この「意味づけ」が重要であるということになります。
自分がどんな「意味づけ」をしているかを理解して、それをうまく修正、コントロールしていくことがアンガーマネージメントの肝になります。
怒りをコントロールするための修正点
アンガーマネージメントを実施する上では「意味づけ」の理解と修正が重要だと書きましたが、抜本的な対策として意味づけを修正していくためには少し時間がかかるので、著者は短期的な対処法と長期的な対処法の2段階に分けて行っています。
私もこれにはすごく賛成でした。
とりあえず治せるところから治していって、まずは手ごたえを感じていくことが怒りをコントロールしていくことを継続するためのポイントになると感じています。
2段階の対処法は以下のように分かれています。
- 「行動の修正」
「衝動のコントロール」とも表現されていました。要するに「イラッ!」や「ムカッ!」を感じた際にその気持ちのまま行動することを納めるための方法です。 - 「認識の修正」
怒りを感じているものごとへの「意味づけ」を理解して、修正し、「怒りにくいパターン」を作っていくための方法です。
それぞれをもう少し細かく見ていきましょう。
行動の修正(短期的な対策)
この「行動の修正」(衝動のコントロール)は考え方を変化させるものではないので、怒りをコントロールすることの根本的な対策とはなりませんが、衝動の赴くまま行動していしまい、あとで後悔してしまうという悪循環を抜け出すために効果があります。
本の著者は衝動的な行動を納めるために、「イラッ!」や「ムカッ!」っとなった際の対処法としていくつかの方法を出していますが、その中で私が出来そうだな、と思ったものを2つご紹介します。
ストップシンキング(Stop Thinking)
これは文字通りすべての思考を止めることです。怒りの感情のもとになる出来事の意味づけや、思考そのものを停止します。
衝動的な行動を遅らせたり、止めるために、何か良くない出来事が起こった際は
「止まれ!!」
と自分自身に向かって心の中で叫びます。
冒頭に紹介した私の後悔した出来事を例に出すと、
ぐちゃぐちゃになっていくリビングを見ながら、片付けてね、と言っても更におもちゃをもってくるだけの長男をみて、
「止まれ!!」
っと無になります。
または、うんちのにおいがする次男の相手をしながら、長男に家に帰ることを反対されたら、
「止まれ!!」
っと無になります。
たしかにイライラを力任せに子供にぶつける前に一呼吸入れるのはいいな、と思いました。
コーピングマントラ(魔法の呪文)
これは、カチンときて怒りが爆発しそうになったり、ものすごくイライラしてマイナスの言動をしてしまいそうなときに、自分の中で言葉(呪文)を唱えることで、思考を別の方向に向けて、自分を落ち着かせる方法です。
先ほどのストップシンキングと違うのは、思考を止めるのではなく、思考を別の方向にむけてイライラする出来事への準備をするという点が違っています。
落ち着かせるための言葉は事前に用意しておく必要がありますが、著者は以下のような言葉を紹介しています。
「大丈夫。なんとかなるさ」
「1か月後には忘れてる」
「これもいい勉強だ」
私はストップシンキングよりもコーピングマントラの方が自分に向いていると思っていますが、著者が紹介している言葉は前向きですが、子育てではその前向きな思考にも嫌気がさしてしまうことがあるので、少し抵抗がありました。
コーピングマントラは「思考を別の方向に向ける」ことと、「理想を思い出す」ことが目的だと思いますので、私は以下のように唱えようと思っています。
ぐちゃぐちゃになっていくリビングを見ながら、片付けてね、と言っても更におもちゃをもってくるだけの長男をみて、
「平匡さん!!」
または、うんちのにおいがする次男の相手をしながら、長男に家に帰ることを反対されたら、
「平匡さん!!」
と唱えます。
そう、逃げ恥の「平匡さん」です。
落ち着いていて、子供に怒鳴っている姿など想像できない平匡さんはかなり自分の理想に近いので、魔法の言葉としてはすごくしっくり来ています。
すでに数回実践してみましたが、かなり効果があったと思っていますので、しばらく継続してみようと思っています。
認識の修正(長期的な対策)
これは自分がどのように怒りを感じていて、どのように行動しているのかを知ることが基本になってきます。
とはいえ、頭の中でそれを整理して理解していくことは難しいので、その対策として著者はいくつかの方法を紹介してくれています。
アンガーログ(怒りの記録)
著者が紹介している代表的な方法が「アンガーログ」です。
これは怒りの「見える化」を目的としていて、怒りを覚える出来事があるたびに、何が起きて、どう行動して、どうなったかを主観や分析をせずに事実のみを記録していく、という方法です。
これを出来事が起こる都度、できればその場でメモを取ったり、スマホに残すことで記録して、自分の考え方を知る、というものです。
子育てをしていく中では、なかなかこういった時間がとれないからこそイライラするわけですが、せめて1日1個でも記録を意識して、継続していくことが自分の考えを知ることにつながるのだと思います。
また、ここまで自分の「考え」と書いてきましたが、もう少し具体的に考えると、アンガーマネージメントでの「考え」は自分の「~べき」を探ることなのだと思います。
「リビングは綺麗であるべき」
「片付けはその都度するべき」
「3歳になったらウンチはトイレでするべき」
「~べき」は「全員~だ」「絶対~だ」、または「必ず~だ」とも言い換えられると思いますが、こういった自分の中の強いルールがあるからこそ、そこから外れるとイライラしてしまうわけで、
アンガーログは自分の中の「~べき」を探る作業なのだと思います。
きっかけのブレークポイント
アンガーログなどの手法を用いて、自分の中での「~べき」が見えてきた後に行うのは、「~べき」の修正とそのための「きっかけ」作りです。
「~べき」の修正は以下のように3ステップでおこなう方法が紹介されています。
- はじめに思ったこと
なんで片付けないの? 出したら片付けるべきだよね? - 認識のエラー
途中で今持ってきているおもちゃも使うのかもしれないし、別に片付けていないことで、すごく自分がこまっているわけでもなかったな。 - リフレーム(言い換え)
最後に片付いていればいいし、その間はケガしないようにだけ注意しておこう
このように、自分の中の「~べき」を修正していきます。その過程で大切なので以下のような考え方です。
自分を否定するのではなく、自分の「~べき」の一部が、自分にも周りにもプラスにならないことがあった、というだけのこと。
修正作業は大切ですが、それで自分を否定することにならないような注意が必要です。
リフレーム(言い換え)を日常化して、自分の理想に近づいていくことが目標ですが、そのためのきっかけづくりづくりとして何かひとつの「変化(ブレークパターン)」を日々意識していくことも有効とされています。
例えば、日常的に「子ども」に対してイライラしてしまう場合は、
「夕方くらいにイライラすることが多いから、この時間は奥さんとコーヒーを飲もう」
「今日は大きなトイレが近くにあるスーパーの隣の公園に行こう」
といった小さな変化です。
こういった変化の積み重ねが、自分の「~べき」を望むかたちにする変化を生んでいくのだとおもいます。
最後に。
子育ての場面を想定したアンガーマネージメントについてまとめました。
まずは自分のできることからやって、継続していくことが大切だとおもいますので、私はとりあえず
- 怒りそうになったら「平匡さん」と唱えます
- その日イライラしてしまったことをまずは一つスマホに記録します
この2つから初めて見たいと思います。
障害があるとないとに関わらず自分の思い通りにならない子育てですが、体の障害や社会への障害を感じる場面が多いと、よりいっそうイライラする場面は増えると思います。
あとで後悔することが一つでも減るきっかけとして、アンガーマネージメントのような手法を試してみるのもよいかなぁと感じました。