障害児の「医療保険」と「必要性」の話。

障害児の「医療保険」と「必要性」の話。 ダウン症のこと

こんにちは、Mituso(@Mitsuo29817853)です。

こどもの将来で不安な要素のひとつは経済面、と考えられる方は多いのではないでしょうか?

とくに子供に障害があった場合は、この先何をしたらよいのか分からない、どんなことが必要になるか分からない、といった不安が加わり、より経済面での安定が重要に感じられると思います。

こういった不安を解消するひとつの方法として「医療保険」があります。

医療保険は通院、入院、手術代などを保障してくれるもので、健常の子よりは選べる保険は少なくなりますが、障害を持った子であっても加入できる民間医療保険はいくつかあります。

一方で、各自治体で「子ども医療費助成」制度があります。

制度を受けられる年齢は自治体によって差(0~15歳前後)がありますが、通院や入院医療費の自己負担分を助成してくれるため、少なくとも子供が小さい間はこういった地域自治体からの助けによって医療費の不安はかなり軽減されます。

では、先ほどの医療保険は必要でしょうか?

この記事では、医療保険の必要性や、障害のある子でも加入できる医療保険について、我が家のダウン症児の次男の例を参考にご紹介します。

また、実際に入院や手術を受けた際にどのように保険金の申請をするのかなどもまとめました。

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医療保険への加入は必要か?

先ほども書きましたが、各自治体では子供の医療費を助成する制度があります。

これによって、15歳程度までは通院や入院に関する医療費の自己負担はかなり軽減されます。

一方で、医療保険に加入する場合は月に千円程度~数千円の保険料が必要になりますので、この保険料だけ無駄になってしまう、という考え方もあります。

実際のところ、そういったケースもあり得ます。

障害があるものの合併症などによる通院が特に必要ないのであれば保険金が受け取れるケースはあまりなく、払った保険料は無駄になってしまいます。

この必要性の判断がむずかしいところです。

では、我が家ではどうしているかというと、医療保険に加入しています。

ダウン症の次男は中耳炎はあるものの、大きな合併症は幸い今のところなく、通院や入院はそれほど多くありません。

この状況であってもなぜ加入したかというと、不安の解消のためです。

医療費助成制度は通院や入院の大部分の助成をしてくれますが、全てではありません。例えば、以下のような費用は自己負担になります。

  • 薬の容器代
  • 文書作成料(診断証明、入院証明、出産証明 etc.)
  • 差額ベット代
  • 入院時の食事代

これらの経費、特に入院に関わる費用は入院期間が長くなると高額になります。

また、子供の入院期間中、両親の仕事が思ったようにできないための収入減、付き添い入院する場合はその費用、付き添い入院していない親も家事の負担が増えれば食事は外食で済ませるなど、何かと出費が多くなります。

頻度は少ないとは思うものの、入院や手術が心配な状況で、更に経済面で余計なストレスを受けないために我が家は医療保険に加入しています。

後ほど書きますが、我が家の次男は昨年「滲出性中耳炎」治療のために3日間入院しました。

やはり、費用の面での安心感はあり、医療保険には価値があるなぁと感じました。

繰り返しになりますが、加入はご家庭の判断でよいと思います。医療保険には入らず、保険料に充てられる費用をその他に使うといった選択肢もありです。

わが家の判断、体験が皆さんの判断の一助になればと思います。

ダウン症児が入れる医療保険は?

前置きが長くなりましたが、ダウン症児が加入できる医療保険についてです。

医療保険への加入を考えた際に障壁となるのが告知条件です。

多くの保険で健康状態や既往歴、身体障害の有無などが条件に入っていて、障害があると加入が難しくなっています。

そのため、必然的に加入できる医療保険は告知条件がゆるいものに限られます。

以下、3つご紹介します。2022年5月現在の条件です。

それぞれの保険の特徴を私なりにまとめていますが、加入を検討される際は各HPやパンフレットなど最新の情報を確認してください。

1.Coop共済 たすけあい J1900

告知条件
・現在、入院中ですか?
・現在、医師から「今後1年以内の入院または手術」をすすめられている状況ですか?

月掛け金
1900円

保障内容
病気入院・事故(ケガ)入院 日額5,000円
事故(ケガ)通院 日額2,000円
手術 4・8・16万円
長期入院 30万円 etc.

その他
加入できる年齢は0~19歳
親や扶養者の死亡・重度障害に保証がある
月額140円で個人賠償責任保険を付帯できる

我が家はこれに加入しています。
入院しておらず、入院や手術の具体的な予定がなければ加入でき、かつ、0歳から加入できることが決め手でした。

保証金額はそれほど大きくはありませんが、月掛け金が安く、親や扶養者の死亡や重度障害にも保障をつける保険としてのかたちが好きです。

保険に入るには生協の組合員になる必要がありますが、これはそれほど問題はないと思います。

2. ぜんち共済 あんしん保険

告知事項
健康状態や医師の検査などの告知条件はありません
知的障害、発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)、ダウン症、てんかんのある方とその家族、親族なら加入することが出来ます

月掛け金
月払いの場合 1,700円/月(初回のみ6,200円)
年払いの場合 22,500円/年(月換算で1,875円)

保障内容
死亡保険金 10万円
ケガによる特定重度障害 10万円
病気入院・事故(ケガ)入院 日額3000円 or 7000円
事故(ケガ)通院 日額3,000円
手術 20,000円 etc.

その他
加入できる年齢は満5~74歳
権利擁護費用保険が付いている
 → 被保険者が虐待、雇用現場での差別、逮捕・拘留、消費者被害、もらい事故、財物損壊にあった場合、解決するための弁護士費用を補償するもの。弁護士委任費用100万円までの実費保障など。
個人賠償責任保険が付いている

ぜんち共済は全国知的障害者共済会を前身とする知的障害、発達障害がある方のための専門保険会社です。

あんしん保障プランは4つあり、上の内容は「新A-2 おすすめプラン」の内容です。ほかに、「新A-1 ベーシックプラン」「新B-2 入院重点プラン」「新C-3 充実保障プラン」があります。

こちらも月掛け金が安く、補償内容もCoop共済と大差ないように思います。権利擁護費用保険はこの保険の大きな特徴だと思います。

また、加入が5歳からなのもポイントです。生まれてすぐの検討には入りませんが、何か入っている保険があって、そこから変える際は選択肢になると思います。この年齢になったら我が家も検討しようと思っています。

3. AIG損害保険 生活サポート総合保障制度

告知事項
こちらもぜんち共済と同様、健康状態や医師の検査などの告知はありません
知的障害児(者)、または自閉症児(者)が加入することができます

月掛け金
年払い 25,200円/年(月換算で2,100円)

保障内容
付添介護保険金 日額8,000円
差額ベッド費用 日額3,000円
入院一時金 6,000円
入院諸費用 日額1,000円
死亡保険金 10万円
事故(ケガ)入院 日額5,000円
事故(ケガ)通院 日額3,000円
事故(ケガ)手術 入院中 50,000円 入院中以外 25,000円 etc

その他
加入できる年齢は0歳~制限なし。ただしプランによっては65歳以上不可
弁護士費用等補償(ぜんち共済の権利擁護費用保険とほぼ同じです)が付いている
個人賠償責任保険が付いている
地震によるケガが補償対象になる

上の内容は最も保証が手厚い補償プランBに関する内容です。このほかに補償プランA(掛け金 19,500円/年)と補償プランC(掛け金 22,000円/年)があります。

引き受け保険会社はAIG損害保険ですが、加入窓口は全国知的障害児サポート協会です。

「付添介護保険金」についてですが、「被保険者の年齢や心身の状態等により必要となる付添または介助が補償の対象」という条件ですので、まさに付き添いをされる方のための補償内容です。これはすごくいいなぁと思いました。

一方で、先の2つの保険と比べると被保険者の入院費用に関する保険金などの条件が少し劣るような気がします。ただ、弁護士費用や地震によるケガなど、補償対象が広いイメージかなと思います。

以上の3つがダウン症児でも加入できる可能性のある医療保険です。

ぜんち共済の保険や生活サポート総合保障は個々の障害に特化した保険ですが、この障害に当てはまらなかった場合、Coop共済が唯一の選択肢になるのかなと思います。

告知条件違反のリスクは?

障害がある場合、告知条件が医療保険に入る際のポイントになるという前提でしたが、では告知条件を無視して、保険に加入することは出来ないでしょうか?

まず加入はできると思います。ただ、保険金が支払われない可能性が高いです。

保険会社などが保険金を支払う際に疑わしいと思えば、医療機関などに問い合わせを行うことになります。そこで告知条件違反が発覚すれば、保険金は支払われませんし、契約が解除されることになり、それまで払っていた保険料は無駄になります。

また、こういった事例が続くと、「保険」という商品全体の引き締めが強くなっていくと流れができてしまうように思い、障害児の親としてはつらいなぁと考えてしまいます。

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保険金の申請はどのようにする?

では、保険金の申請をできる事態が起きた際、何を準備して、どのように申請するのでしょうか?

先ほど書いたように我が家は現在、Coop共済のJ1900コースに加入しています。先日、次男が滲出性中耳炎のためチューブ置換術の手術と入院をしたので、その際に申請した流れを参考にご紹介します。Coop共済なので、「保険金」ではなく「共済金」となっています。

  1. Coop共済に電話
    まずは、手術や入院が決まったことをCoop共済に連絡します。手術の名前や入院期間、念のため共済証書を用意しておくとスムーズにいくと思います。
    内容を確認してもらい、必要な申請書類を送ってもらいます。
  2. 書類の記入、準備、発送
    必要な書類が届くので記入していきます。記入例が付いているのでそれほど困ることはないと思います。記入に際し、以下を準備しておきます。
    ・領収書のコピー
     → 医療機関で発行される領収書です。医療機関名、被共済者名、
       手術日、手術料算定の記載、入院期間の記載があればOKです。
    ・診療明細書
     → 医療機関の窓口でお願いすると、無料か、2000円くらいで作成してくれます。
       医療機関名、被共済者名、手術日、手術名称の記載があればOKです。

    その他、送られてきた以下の書類に記入します。
    ・共済金請求書 → 共済金受け取りのための口座情報など記入
    ・手術共済金請求のための申告書 → 手術日、医療機関、傷病名、手術名など記入
    ・同意書 → 書類の不備などに備え、医療機関に問い合わせてよいです、という同意
    ・病気入院共済金請求のための申告書 → 傷病名、入院期間など記入

    記入は15分もあれば十分に終わると思います。記入後、返信用封筒に入れて郵送します。
  3. 共済金の振り込み
    問題がなければ、郵送から1週間~10日ほどで共済金が振り込まれます。

このような流れになります。特に入手に困ったり、記入に困ったりといったことはなく、思っている以上に簡単な作業だと思います。

滲出性中耳炎については以下を参考にしてください。

医療保険だけでよいか?

ここまで医療保険について書いてきましたが、この他に加入できる保険もあります。

個人賠償責任保険は医療保険に付帯しているものも多いですが、加入をしたほうが私はよいと思っています。

目の届かないところでは特になにが起こるか分かりませんし、といった不安はありますし、示談交渉をしてくれるサービスもありがたいです。

障害があっても入れる生命保険もあります。

プレデンシャル生命から出ている米国ドル建特別終身保険という生命保険です。この保険は「無告知型」になっていて、入院していなければOKで、0~満8歳まで加入することが出来ます。

細かい点は省略しますが、17歳か18歳まで保険料を支払っていると、その時点で設定した保障額の30%と、一生涯の補償を得ることが出来ます。死亡保険金の設定は100,000USドルです。

生命保険は親というよりも、親が先に亡くなった場合に、障害児の兄弟やサポートしてくれる方のためになるのではないかと思います

また、子供だけでなく、親の生命保険や医療保険、収入サポート保険など、不測の事態に備えた準備は可能な限り、考えておいたほうがよいです。

最後に・・

いろいろと書いてきましたが、保険は生活の不安解消のための一つの手段です。

保険料が当然かかりますので、普段の生活とのバランスをとりながら考えていくのが大事だと思います。

また、今回のブログを書いていて、ダウン症に限らず、障害児に対する保険商品も年々変化があると感じました。

検討し、加入した後も情報収集を時々行っていくことも保険をうまく使っていくポイントなのだと思います。

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