「ヘルプマーク」の「課題」と「今後」の話。

「ヘルプマーク」の「課題」と「今後」の話。 ダウン症のこと

こんにちは、Mituso(@Mitsuo29817853)です。

ヘルプマーク、ここ数年で見かけることがすごく多くなった気がします。

しかし、見かけることが増えてきたとはいえ、マタニティマークなどと比較するとまだまだ十分に普及しているとはいえません。

あえてヘルプマークを付けないといった声も聞こえてきます。

特に外見からは分かりづらい障害がある方にはメリットが大きいはずのヘルプマークの使用が広がらないのはなぜでしょうか?

この記事ではヘルプマークの基本や課題をまとめ、今後どうなっていくか私見を加えました。

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ヘルプマークってどんなもの?

ヘルプマークについて、その意味や対象者、用途などをまとめました。

ヘルプマークはどんなもの?

全国で見かけるようになったヘルプマークですが、実は国として推進されていたものではありません。

2012年に東京都福祉保健局が作成したもので、それを各自治体が採用し広まっています。

普及元となった東京都保健福祉福祉局HPにはヘルプマークについて、このように書かれています。

義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、または妊娠初期の方など、外見からは分からなくても援助や配慮を必要としている方々が、周囲の方に配慮を必要としていることを知らせることで、援助を得やすくなるよう、作成したマークです。

ー ヘルプマークを身に着けた方を見かけたら ー
1. 電車・バスの中で席をお譲りください。
外見では健康に見えても、疲れやすかったり、つり革につかまり続けるなどの同じ姿勢を保つことが困難な方がいます。また、外見からは分からないため、優先席に座っていると不審な目で見られ、ストレスを受けることがあります。

2. 駅や商業施設等で、声をかけるなどの配慮をお願いします
交通機関の事故等、突発的な出来事に対して臨機応変に対応することが困難な方や、立ち上がる、歩く、階段の昇降などの動作が困難な方がいます。

3. 災害時は安全に避難するための支援をお願いします
視覚障害者や聴覚障害者等の状況把握が難しい方、肢体不自由等の自力で迅速な避難が困難な方がいます。

ヘルプマークの対象者は?

障害者手帳を持っている方はヘルプマークの対象となりそうですが、そうでない方も対象となるのでしょうか?

こちらも東京都保険福祉局HPには以下のように書かれています。

ヘルプマークの対象者は義足や人工関節を使用している方、内部障害や難病の方、妊娠初期の方など、援助や配慮を必要としていて、配布を希望する方々です。

しかしながら、身体機能等に特に基準を設けているわけではありません。ヘルプマークの配布に当たっては、必用な都民の方々が円滑にマークを活用こするとができることに配慮し、特に書類等の提示は必要なく、お申し出に対しお渡しすることとしています。
マタニティマークと同様、ご家族等が代わりにいらっしゃる場合も、お渡ししています。

手帳の有無は関係なく、対象としてあがっていない知的障害や発達障害、精神障害も含め、日常生活で助けを求める可能性のある方、全てが対象になっているのです。

ヘルプマークの対象地域は?

東京都発信で全国に広がりを見せているヘルプマークですが、日本全国すべてにひろがっているのでしょうか?

こちらも東京都保健福祉局HPに令和3年10月31日現在の状況が掲載されていました。

結果は47都道府県、全てで導入がされています。

日本全国、どこにいってもヘルプマークを活用した配慮を受けられるように各自治体が取り組んでくれています。

各自治体での違いはない?

日本全国、すべての都道府県で導入されているヘルプマークですが、大きな広まりを見せたのは2017年、ヘルプマークがJIS登録されてからだと言われています。
まだそれから5年足らずであるため、導入されているとはいえ各自治体により浸透の度合いに違いがある可能性があります。
ただ、基本的に対象者や配慮に関する記載に違いはなく、対応が共有されています。

ヘルプマークの用途は?

ヘルプマークの用途は大きく分けて2つあります。

  1. マークを身に着けることで配慮が必要になる可能性を周囲にしってもらえる
  2. マークの裏面に必要な対応の方法など記載して情報を周囲に伝えることができる

あまり知られていませんが、2もすごく重要な用途だと思います。

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ヘルプマークの利用状況は?

日本全国に普及しているヘルプマークですが、どのくらい利用されているのでしょうか?

配布は各自治体がそれぞれで行っているので全国での配布数をまとめたものがありませんが、2017年頃から利用が広まって5年が経っています。手作りしたものも利用できることを考慮すると相当数が世に出ていることが予想できます。

ヘルプマークの利用率は?

配布されたヘルプマークの利用率はどうでしょうか?

障害者専門の人材紹介会社である株式会社ゼネラルパートナーズが2021年11月に164名を対象に行ったアンケートの結果を参考にさせていただきました。

結果は以下の通りです。

・あなたはヘルプマークを知っていますか?
 はい 80&  いいえ 20%
・ヘルプマークを利用したことがありますか?
 現在利用している 26%
 利用していたが、現在利用していない 6%
 利用したいが、まだ利用していない 24%
 利用したいと思わない 44%

「利用している」と「利用したい」を合わせると50%となります。逆に考えると知っていても利用しないという方が50%いることになります。

また、利用したいと思わないという意見は2017年に同様のアンケートを実施した際は37%だったので7%も伸びているのです。

一方で、私がTwitterを使ってアンケートを行った結果はこちらです。

こちらでは「利用している、する予定である」が70%となり、若干ですが利用することに前向きな傾向がみられました。

この違いはゼネラルパートナーズのアンケートは障害者本人が答えているのに対して、私が行ったアンケートは障害がある子供を育てるご両親が回答してくれていることが影響しているように思います。

現在利用について考えている本人と、子供の将来を考えている親の違いが結果に出ているように見えます。

それでも「利用していない、する予定はない」と考える親も30%はいるのです。

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ヘルプマークの課題とは?

メリットが大きいはずのヘルプマークがかかえる課題とは何でしょうか?

ゼネラルパートナーズのアンケート結果の続きを見てみましょう。

・ヘルプマークはあなたが想定した通り、役立っていますか?
 役立っている 4%
 どちらかというと役立っている 21%
 どちらかというと役立っていない 30%
 役立っていない 44%

・ヘルプマークを利用していない理由はどれですか?
 利用する場所や機会がないから 36%
 利用時の周囲の反応が気になるから 30%
 認知不足により役に立たないと思うから 29% (上位のみ抜粋)

この結果から、地域の行政としてヘルプマークが導入されていたとしてもマークの意図が伝わっておらず、利用するメリットがかなり限定的になっていることが想像できます。

また、Twitterなど見てみると、一部で以下のような意見もみられます。

ヘルプマークをつけることによって、自分に障害があることを知られるのが怖い

健康に問題のないにも関わらずマークにより席を譲ることを強要している、といった誤解を受けることを避けたい

障害に対する社会の偏見や、一部のマークを悪用しようとする方によってヘルプマークの効果が半減している可能性があります。

ヘルプマークは今度どうなっていく?

ヘルプマークの普及活動は全国で続いているものの、思ったような効果が得らないために利用者が増えていない実態が分かりました。

では、これを踏まえて、ヘルプマークは今後どのようになっていくのがよいでしょうか。

いろいろな意見があると思いますが、私の意見を少し。

私は少なくともヘルプマークの利用がこのまま停滞していて良いとは思っていません。

まだ障害について広く認知されていない日本で目に見えない障害をかかえる人が多くいることを知ってもらうことは大切な一歩になると思うからです。

そのうえでヘルプマークを付けている人を見かけた場合に求めることをもっとシンプルにしたほうがよいと思うのです。求めたいのは

「ヘルプが必要か気にかけて」

ということです。

どの自治体のHPでもヘルプマークをつけているひとをみかけたらどうするか、に対して真っ先に「電車やバスで席をゆずって」と書いてあります。

ヘルプマークは席を譲ってもらうことを意図したマークではないはずです。

目に見えない障害に対して配慮した結果が席を譲ることに繋がっているだけです。

商業施設などで声をかけて、というのもハードルが高いように思います。何も困っていなかったら声をかけても意味がない、どんなことで困るのか想像ができない、と思ってしまうと声をかけるのも躊躇してしまうでしょう。

まずは、気にかけることを意識してほしいのです。

その結果として、つらそうであれば「何かお困りですか」と声をかけて、返事もできない様子であればヘルプマークに書かれている処置を確認する、とつながっていきます。

悪用されるケースも0にはならないと思いますが、第一に「席を譲って下さい」ということを意図するマークでなくなれば、悪用の需要も減ってくるのではないでしょうか。

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さいごに。

ヘルプマークについてまとめました。

普及はしてきているものの、課題が見えてきているヘルプマーク。

障害のある方に対しても、そうでない人にとってもメリットが大きくなる可能性があるものだと思います。

見えてきた課題が解決に向かい、障害のある方がより生活のしやすい社会となる一助になってほしいです。

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