バリアフリー? 知的・精神障害者と「公共交通機関」と「課題」の話。

「公共交通機関」と「障害者の利用」の話。 その他

こんにちは、Mituso(@Mitsuo29817853)です。

公共交通機関は「不特定多数の人が利用する交通機関」のことです。

当然のことですが、障害者も公共交通機関をつかいます。

ただ、公共交通機関のルールはマジョリティに合わせて作ってあることが多いので、マイノリティの障害者には守ることが難しいルールもあるのが現実です。

さらにいえば、歩行障害・車いすに代表される身体障害者に対するルールや仕組みが出来ている乗り物でも、知的・精神障害者は利用に不安を感じることがあります。

私も先日、ダウン症の次男と公共交通機関を利用したときに、守りたくても守れないルールに遭遇してしまいました。(この件は後述します)

この記事では、知的・精神障害の子供と利用するときに困る、もしくは知的・精神障害者の方が単独で利用する場合に困ること、そして対策についてまとめました。

障害に関わる当事者も、そうでない方もその状況をイメージしながら読んで頂けらば幸いです。

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障害児が困る乗り物って何?

この記事を書くにあたり、私と同様に障害児との利用で困ったことがある乗り物をTwitterでみいてみました。回答をしてくれた皆さん、どうもありがとうございます。

結果がこちらです。

たった25票と思われる方もいらっしゃる方もしれませんが、されど25票。貴重なご意見です。

トップは40%で電車でした。

冒頭で少し触れました私の困った体験は飛行機だったので、飛行機がダントツで一位をとると思っていました。

乗り物ではどんなことで困る?

アンケートにもありました電車、車(バス)、飛行機について困ることと、対策を考えてみました。

内容については私が思うことももちろん入っていますが、令和3年2月に国土交通省によりまとめられた「知的・発達・精神障害の人に対する公共交通機関の利用支援に関する検討業務報告書」も参考にさせていただきました。

すこし長い報告書ですが、リンクを貼っておきますので興味のある方は読んでみてください。

https://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/barrierfree/content/001405597.pdf

電車で困ること

知的、精神障害のあるお子さんをつれて電車に乗る場合と、ご本人に知的、精神障害があるときで困ることは変わってきます。

お子さんに知的、精神障害があるときに困るのは例えば以下のような状況です。

  • 大声や奇声をあげてしまう
  • 窓際に座りたい、つり革をさわりたい、などこだわりや好奇心が強くなる
  • 満員電車に子供が耐えられるか心配で、そもそも利用する時間帯を選ばなくてはいけない

といったものかと思います。

他の乗り物でもいえることですが、利用する方が多いほど周囲へ迷惑をかけていないかが親としては気になるところでしょう。

続いて、ご本人に知的、精神障害があるときに困ることはなんでしょうか?先ほどの国交省の調査から一部抜粋します。

  • 券売機の操作方法が分からない
  • ICカードでエラーが出た時にどうしたらよいか分からない
  • 乗車がトラブルで止まってしまったときなど、普段と違う状況に処できるか分からない

どれも普段とは違う状況に置かれたときに一人では対応できないことが問題になっています。

そんな電車での対応の仕方は?

まず、子供をつれて乗る親としては自分たちで使えるスペースが確保されていると気持ちがすごく楽になります。

他の方と距離がとれて座れることがベストです。

つい出てしまう大きな声の対応は難しいですが、スペースがあれば対応の幅が広がります。

そんなときに使いたいのが優先席ですが、対象者について高齢者や身体障害者、妊婦さんに対する表示は目にしますが、知的、精神障害者について書かれているのはみたことがありません

赤ちゃんをつれたお母さんの表示はありますが、子供が少し大きくなると該当しないように思います。

そこでいくつかの鉄道会社に問い合わせをしてみました。すると、数社からこんな回答をいただきました。

Mitsuo
Mitsuo

知的・精神障害児も優先席を利用してもよいのでしょうか?

優先席は基本的には席に表示されておりますご高齢の方、お身体の不自由な方、乳幼児をお連れの方などが対象ですが、様々な理由でヘルプマークをお持ちの方や体調の優れない方など、席を必要としている方に幅広くご利用いただきたいと考えております。

車内放送やポスターなどで他のお客様へご理解とご協力をお願いしてまいります。

知的、精神障害でも優先席を使うことは問題ないようですね。

ヘルプマークがあると周囲からの不要な誤解を避けられるかもしれません。

また、障害者が一人で電車に乗る際のケアについて考えてみました。

車いすなどの身体障害については事前に連絡をすればホームなどでケアをしていただくことができますが、同様に知的、精神障害者でも改札やホームでケアをお願いすることはできないのでしょうか?

これについては以下のような回答をいただきました。

Mitsuo
Mitsuo

事前にご連絡をすれば、知的、精神障害者も改札やホームでケアをお願いすることは可能ですか?

はい、可能です。単独で利用ができない場合は付き添いの方がいらっしゃることが望ましいですが、付き添いなしでもご利用いただける方をサポートし、より安心してご利用いただけるよう努めてまいります。

事前連絡をすることがより望ましいようですが、いざというときに駅員さんがサポートについてくれるのであれば、より安心して利用することができそうです。

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バスで困ること

さて、つづいてバスについてです。

電車の悩みと重なるものが多いですが、バス特有の悩みもあります。

まずは、知的・精神障害の子供を連れていると困るのは例えばこんな場面です。

  • 電車よりも揺れることが多く、長い時間乗ることもあるため座りたい
  • バスを停車させるピンポンを押せないと癇癪をおこす

電車と同様の問題もありますが、バスのピンポンもなかなか侮れない存在です。

たかがピンポン、されどピンポンです。

次にご本人が知的・精神障害者の場合です。

  • どのバスに乗るか、どの場所で降りるかの判断が難しい
  • 事故などトラブルの際に代わりの交通手段を探すといった臨機応変な対応ができない

これらも電車とある程度共通する悩みかもしれません。

しかし、東京など一部の都会を除いて、バスは電車よりも行先や降りる場所が多く交通網が複雑です。

また、定時制も電車より劣るため、遅れに対応するといった臨機応変な対応が必要な印象があります。

そんなバスでの対応の仕方は?

座るための場所の確保について、バスでの優先席の使用については電車と同様とかんがえてよいでしょう。

もちろん、優先席も空いていない可能性はありますが、ヘルプマークをつけたお子さんがいれば優先席以外の席でも譲ってもらえることが増えるのではないでしょうか。

優先席が少ないバスもあるので、譲り合いは電車よりもシビアな問題かもしれません。

ピンポンの問題についてですが、わが家も一時期この問題がありました。できる限り早く押させるようにしていましたが、それでもせっかちな大人にはかないません。

そのため、私はこんなおもちゃを持ち歩いていました。

これに何度か窮地を救われました。バスの時だけ出てくるおもちゃ、みたいに使っていました。

知的、精神障害者が単独でバスに乗る場合についてですが、いくつかのバス会社に問い合わせたところ、このような回答を頂きました。

Mitsuo
Mitsuo

知的・精神障害者が単独にバスに乗車する場合、事前にご連絡をすれば乗降のケアをお願いすることは可能でしょうか?

はい、各営業所に事前に「乗車区間」「乗車日時」「ケアの範囲」をご連絡いただければ当該便の乗務員が対応いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

実際にこういった場面をみたことはあまりないですが、対応して頂けるとのことで安心しました。

ただ、質問をさせていただいた数社の中でも回答に違いがありました。

少なくとも対応してくれるところがあることは分かりましたので、利用されるバス会社に確認をされてみるとよいと思います。

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飛行機で困ること

冒頭で書きましたが、家族で飛行機に乗った際に考えさせられる出来事がありました。

国内線の飛行機に乗った際、ダウン症児の次男がぐずってしまい、私の膝からおりません。

次男は当時4歳なので離着陸時に着席してシートベルトをする規則になっていることは知っています。

しかし、ぐずる子供に無理やりシートベルトをしても余計暴れるだけですし、そもそも健常の4歳よりはずっと小さい次男にシートベルトをしたところですき間から抜けてしまいます。

CAからは年齢と状況を確認され着席とシートベルトをうながされましたが、事情をていねいに説明し何とか許可をもらえました。

ただ、降機する際「機長の判断次第ですが、着席とシートベルトをどうしてもお願いすることがありますのでご承知おきください」と念を押されました。

規則なのは分かるのですが、ちょっと腑に落ちませんでした。

3歳までシートベルトではなく親の抱っこが許されるのは体格面や精神面を考えてそちらのほうが安全だからだと思いますが、年齢が4歳なだけで体格も精神的にも2歳相当の次男を無理やり着席させることが安全でしょうか?

飛行機は安全面での規則が多いので、例外を認めるのが難しい乗り物で致し方ない部分もあるとは分かっているのですが・・・。

その他、障害のある子供を連れて飛行機にのるときに困るのはこんな場面です。

  • じっとしなくてはいけない時間が長く、気を紛らわせるのが大変
  • 揺れや高さを怖がってしまい、パニックにならないか心配
  • 前の座席を蹴ってしまうなどトラブルにならないか心配

長時間、密集、非日常感などは飛行機特有の苦労するところだと思います。

知的・精神障害の方ご本人が搭乗されるときに困るのは電車やバスと同様に、搭乗前、搭乗中、搭乗後のケアとトラブル対応かと思います。

そんな飛行機での対応の仕方は?

飛行機では優先席というものはありません。できる限り自分たちのスペースを確保することは出来るでしょうか。

こちらも数社に問い合わせをして、某航空大手さんからこのような回答をいただきました。

Mitsuo
Mitsuo

事情をご説明すれば、前後左右の座席をできる限り開けていただくなどの対応をお願いすることは可能なのでしょうか?

予約状況にもよりますが、サポートデスクにご連絡頂ければ周囲にお客様が少ない席をご案内できます。また、当日カウンターで再度ご確認いただき、変更することも可能です。

また、確実に席を空けたい場合は特別旅客料金にて座席を購入する方法もあります。

特別旅客料金というのは体の大きな方が2席確保したいときなどに使用する料金で、だいたい通常料金の半額くらいです。

その他の気になる点も質問をしてみました。

Mitsuo
Mitsuo

知的、精神障害者が単独で搭乗する場合、事前にご連絡をすれば身体障害と同じように空港や機内でサポートをしていただくことは可能ですか?

出発空港での機内までの案内や、到着空港でのお出迎えを空港スタッフがサポートし、機内ではCAがケアをいたします。

ただし、機内での緊急事態発生などの場合は係員の介助なくご自身で避難をしていただくことになるため、単独搭乗の場合は以下の3点を事前にお伺いしています。

・係員とコミュニケーションがとれるかどうか。

・お一人で飲食ができるかどうか。

・お一人で化粧室のご利用ができるかどうか。

Mitsuo
Mitsuo

なるほど。ありがとうございます。

別の話ですが、実年齢が4歳でも障害により体格も精神的にも4歳相当にいたっていない子供は離着陸時、ひざに抱っこすることはできますか?

座席を1席有する年齢のお子様につきまして、離着陸時の抱っこでの搭乗はできかねます。

障害のために体格がちいさく、お一人での着座姿勢が困難な場合には

補助具としてアシストシートを無料で貸し出ししております。出発の48時間前までにお申し込みいただき、その際に身長・体重など合わせてお知らせください。

私がしてもらった配慮は本当にイレギュラーな扱いだったようですね。機長さん、CAさん、ありがとうございました。

アシストシートも大きな空港にしか配備がされていない心配もありますが、これからは事前に連絡してみようと思います。

ただ、やはり年齢によって座席を購入しなくてはいけないのは分かるのですが、膝での抱っこが体格など子供の状態で判断してもらえないことにはモヤモヤが残りました。

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抜本的な解決策はあるのか?

ここまで、いくつかの乗り物の困ること、その対応について書いてきました。

このほか、タクシーや船など乗り物によっていろいろな状況があると思います。

それぞれの乗り物で個別の対策はあるものの、共通しているのは次の2つの不安ではないでしょうか。逆に言えば、これらが解消されていくことが抜本的な解決になるのだと思います。

周囲は状況を理解する姿勢をみせてくれるか?

障害を理解する、理解してもらうにはどうしたらよいか、という議論を耳にします。

たしかに障害にっいて正しい知識をみにつけることはとても大切です。

ただ、障害といっても幅が広いですし、みんなが個々の障害を完璧に理解するというのは無理な話です。

私が障害児の親となって周囲に思ってほしいことは、自分とは違う人がいていい、ということです。

最近ではLGBTQやヴィーガンなど様々な価値観が広まり、世の中にはいろいろな人がいることが理解され始めていますが、障害も同様に社会の中に確実にあるものです。

公共交通機関を利用すれば必ずいろいろな人達が乗っています。

まずはこういったことが教育などでより広く理解され、障害が世の中のイレギュラーなことではない状況がつくられていくことが必要なのだと思います。

経験したことのない状況に対応できるか?

障害のある方が単独で交通機関を利用する場合、ICカードの残高不足といった小さなトラブルから車内火災などの大きなイレギュラーまで、経験したことのない状況に不安を感じるのではないでしょうか。

また、運行をする事業者側もどのようなケアをすればよいのかわからないところもあるでしょう。

この対応のひとつとして事前に練習できる環境が重要です。

一部の事業者ではこういった取り組みが実施されていることが国交省の報告書に記載されています。

公共交通機関としては様々なニーズや状況に対応する必要があるため、障害者と共に訓練をすることはメリットがあります。障害者本人にももちろんメリットがあります。

しかし、まだまだ十分な機会があるわけではありません。

国や地方など行政でこのような訓練の流れを加速させ、障害者がより幅広く公共交通を利用できる環境が作られてほしいと思います。

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まとめ

少し長くなりましたが、障害者と公共交通機関の関係についてまとめました。

乗り物、とくに公共交通機関についてはあらゆる人が平等につかえることを目標としていくものだと思います。

これは事業者の取り組みはもちろん、利用者の公共交通に対する意識がとても関係してきます。

誰もが気軽に交通機関を利用して活動をできる仕組みが広がってほしいと思います。

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