こんにちは、Mituso(@Mitsuo29817853)です。
障害には様々な種類や程度があるため、一定の基準に基づいて判定が行われます。
この判定結果は障害者手帳というかたちで証明することができ、これに合わせて様々なサービスを受けることが可能になります。
では、この手帳の取得にはどのような手続きが必要でしょうか。
また、一見するとメリットしかないように思う障害者手帳ですがデメリットはないのでしょうか。
ここでは障害者手帳の中でも知的障害者を対象とした「療育手帳」を中心に、他の手帳との違いや取得の流れ、メリット、デメリットをまとめました。
障害者手帳とは?
障害者手帳とは障害に関する3種類の手帳の総称です。
3種類の手帳は身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保険福祉手帳といいます。
それぞれの特徴を簡単にまとめると以下のようになります。
身体障害者手帳
根拠:身体障害者福祉法
対象:視覚障害、聴覚障害、肢体不自由、心臓機能障害、音声機能障害、HIV免疫機能障害など
発行:都道府県知事、指定都市の市長、中核市の市長
取得者数:5,087,275人(H30時点)
療育手帳
根拠:「S48 厚生事務次官通知によるガイドライン」に基づき各自治体が設定
→ 通知は一定の拘束力があるが、罰則はない
→ 国の法律に基づいた制度ではなく、自治体により基準や名称にバラつきがある
対象:知的障害
発行:都道府県知事、指定都市の市長
取得者数:1,151,284人(重度 419,688人、それ以外 731,596人)(令和元年現在)
精神障害者保障福祉手帳
根拠:精神保健及び精神障害者福祉に関する法律
対象:統合失調症、気分障害、てんかん、発達障害など
発行:都道府県知事、指定都市の市長
取得者数:1,062,700人(H30時点)
例えば、ダウン症の場合は合併症などなければ療育手帳の取得を申請することになるでしょう。
療育手帳だけ、根拠となる法律がなく自治体独自の制度に基づく、という特徴があります。
療育手帳の取得について
ここからは療育手帳に関することをまとめていきます。
療育手帳は知的障害者のための手帳です。
「知的障害」は厚生労働省では以下のように定義されています。
知的障害:
知的機能の障害が発達期(おおむね18歳まで)にあらわれ、日常生活に支障が生じているため、何らかの特別の援助を必要とする状態にあること
知的障害は18歳までに表れると定義されているので、例えば20歳の大人が事故などで知的機能に障害がでても「知的障害」の中には含まれず区別されています。
療育手帳の取得に関して、自治体にもよりますが大まかに次にようになります。
対象:
児童相談所、又は知的障害者更生相談所において知的障害があると判定されたもの。判定基準の参考は以下の通りだが、各自治体に確認のこと。
・知能指数(IQ)と生活支援の程度で判定
・18歳未満は児童相談所、18歳以上は知的障害者更生相談所で実施
・IQの基準は70~75、日常生活に支障があり援助を必要とする方が対象
取得の流れ:
1) 地区自治体の窓口で取得を相談、事前書類を提出。
2) 18歳未満は「児童相談所」、18歳以上は「知的障害者更生相談所」で判定を受ける(無料)
3) 自治体に申請
4) 1~2か月後発行。
5) 手帳に記された内容に応じて更新手続き。
申請書類は自治体により違いはありますが、主に以下のようなものです。
・申請書
・本人写真
・印鑑
・母子手帳
・診察情報提供書
知的障害は18歳までにあらわれるとされているため、知的障害者更生相談所では知的機能障害が18歳までに表れていたかも確認することになります。
療育手帳を申請できるのは何歳から?
手帳の申請については知的障害があれば何歳からでも申請することが出来ます。知的能力の判定をするため、3歳未満の赤ちゃんでは判断が付かないこともありますが、ダウン症などの染色体異常の場合は、0歳でも手帳の交付がされることもあるようです。
我が家の次男は1歳の時に手帳を取得しました。
療育手帳に有効期限はある?
発行する自治体によって有効期限は違いますが、2~5年程度で再度判定となることが多いようです。
我が家の次男は1歳で取得、再判定は3歳の時に行いました。
療育手帳のメリット
療育手帳は単なる身分証明書ではありません。障害を持っていることが証明されることになり、判定に応じて様々な公的サービスを受けることが出来るようになります。
・割引や助成サービス
- 外出サポート、訓練施設など福祉サービス(程度によったり、個々の契約が必要だったりします)
- バス・電車(JRや地下鉄など)・タクシー・美術館・映画館などの料金割引 (かなり種類があります。割引設定されたICカードを持てる乗り物はかなり楽です。)
- 航空便特定運賃の利用
- USJ・TDLなどの割引やサービス(TDLなどは並ばずに専用口からアトラクションに行けたりします。ファストバス通路ではなく、また違う通路に通されたこともあります)
- 災害時支援(災害時要援護者支援制度)
- NHK放送受信料の減免
- 公共施設利用料の減免
- 医療費控除
・税金の優遇、控除など
- 各種税金の優遇(所得税・住民税・相続税の障害者控除、自動車税減免、贈与税の非課税など)
- 各種手当取得(特別児童扶養手当、障害児福祉手当、特別障害者手当など)
など本当にいろいろあります。各自治体のHPに詳しくのっていることが多いので確認してみてください。
各種手当については以下を参考にしてください
療育手帳のデメリット
療育手帳を持ったことによって、何かの制度として不利に働くことはありません。
療育手帳を持ったことによって生命保険や医療保険に加入できない、といった話をインターネットでみることがありますが、そういったことはありません。
保険の加入については手帳の有無ではなく、障害や合併症による通院や入院歴が問題となることもありますが、その状況も少しずつ改善してきています。
制度としてはありませんが、取得することによって「障害者として認定」されることがつらい、といった気持ちのデメリットを感じる方はいらっしゃるかもしれません。
親や周りの家族もその事実をつらいものとして思ってしまうかもしれませんし、本人の自尊心を傷つける可能性もあると思います。
これについて明確な解決策はありませんが、私の実感としては、判定がはっきりすることによって将来を考えていく基準が出来たように思ってます。
ダウン症の告知を受けた時ほど大きくはないですが、少し似たような気持ちかもしれません。
療育手帳の地域差
療育手帳はガイドラインがあるとはいえ、自治体独自の制度なので地域差がでることがあります。
・名称の違い
一般的には「療育手帳」です。ほかの名称は例えば、
青森県、名古屋市「愛護手帳」、
東京都「愛の手帳」 などです。 もっと多くあると思います。
・判定の違い
地域により判定の基準、区別に違いがあります。以下はその一例です。
北海道 A判定 [最重度、重度、中度+身障1~3級]、B判定 [中度、軽度]
札幌市 A判定 [最重度、重度、中度+身障1~3級]、B判定 [中度、IQ36~50]、B – (バー)判定 [軽度、IQ51~70]
青森県 A判定 [重度]、B判定 [中、軽度]
埼玉県 Ⓐ 判定 [最重度]、A判定 [重度]、B判定 [中度]、C判定 [軽度]
判定により地域差があるとことはあまりいいことではありません。
基準が違う自治体間で引っ越しをした場合はもう一度取得することが出来るのか分からない、という状態になってしまうからです。
これに関しては国の制度の問題だと思いますので、早急に是正されることを望みます。
障害者手帳 全体の課題
療育手帳のみで考えると国としての統一の基準がないことが課題だと思いますが、この手帳制度全体での課題は「すき間があること」だと思います。
例えば、自閉症やアスペルガー症候群など広汎性発達障害とされる方々が手帳を取得するのに苦労をするといった事例があります。
発達障害の場合は障害者手帳の中では療育手帳を申請することが多いと思いますが、コミュニケーション障害などがあったとしても、IQは高く出ている場合、療育手帳交付の対象とならない自治体があるようです。
このように現在の制度では障害があったとしても手帳の取得に至らない、どの手帳の定義にもあてはまらないといったケースもあるため、取得判定の柔軟性や、新たな手帳制度の整理などが求められています。
さいごに。
障害者手帳の中でも療育手帳を中心に申請方法やメリット、デメリットなどをまとめました。
課題が残っている制度とはいえ、取得のメリットは大きいのが障害者低調です。
まずは自治体の窓口に相談をしてみてはいかがでしょうか。
障害で苦労することは多いかもしれませんが、活用できるものを探していくと生活が改善していくきっかけになるかもしれません。