「障害」と「短期入所(ショートステイ)」の話。

「障害」と「短期入所(ショートステイ)」の話。 社会制度のこと

こんにちは、Mituso(@Mitsuo29817853)です。

子育てをはじめてすぐのころは親は子供と四六時中一緒にいます。

それは大切な我が子を育てるためですし、たくさん楽しいことや喜ばしいことも持っています。

しかし、体力的にはとてもつらいこともあり、親にも休息が必要な時があります。

また、冠婚葬祭などでどうしても小さな子供をつれていけない場面があります。

子供に障害があるとこういった場面も増えてきます。

そんなときに「短期入所(以下、ショートステイ)」という選択肢があります。

これは文字通り、子供を短期間預けることができるサービスです。

ここではショートステイとはどういったものか、どうすれば利用することができるか、またダウン症児の親である私は利用するか、といった点などをまとめました。

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ショートステイとは?

さて、改めてショートステイとは何でしょうか。

厚生労働省HPには以下のように書かれています。

短期入所生活介護は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を送ることができるよう、自宅にこもりきりの利用者の孤立感の解消や心身機能の維持回復だけでなく、家族の介護の負担軽減などを目的として実施します。
介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)などが、常に介護が必要な方の短期間の入所を受け入れ、入浴や食事などの日常生活上の支援や、機能訓練などを提供します。

この説明には高齢の方も対象にして書かれていますが、この中に障害者も含まれています。

つまりショートステイとは「障害者(児)の自立支援・リフレッシュだけでなく、家族の負担軽減・リフレッシュ」を目的として「短期間の入所(預かり)」を行うことです。

ちなみに「短期間」とは「同一施設では最大30日間」のことを指します。

はっきりと家族・介護者のリフレッシュ、休暇が目的に含まれているのはショートステイの大きな特徴と言えると思います。

ショートステイの種類、対象者とは?

ショートステイは2種類に分かれていて、それぞれに対象者が決まっています。

ショートステイの種類

・福祉型
対象:障害支援区分1以上である障害者、厚生労働大臣が定める区分における区分1以上に該当する障害者
実施施設:障害者支援施設(障害者入所施設やグループホームなどで宿泊用の部屋が用意されているところ

・医療型
対象:遷延性意識障害児・者、筋萎縮性側索硬化症(ALS)等の運動ニューロン疾患の分類に属する疾患を有する者及び重症心身障害児・者 等
実施施設:病院、診療所などで宿泊用の部屋が用意されているところ

ショートステイの対象者

では、福祉型の対象となっている障害者支援区分1以上とは何でしょうか。

これは「障害者総合支援法」が定める区分で、文字通り対象者の障害がどのくらい支援を必要とするものであるかを評価したものです。

認定審査員と医師が判定を行い、必用となる支援の度合いが低いほうから「非該当」「区分1」~「区分6」までの7段階となります。

支援の必要性が高くなると利用できるサービスが増えます。

非該当は共同生活援助(グループホームのみ)、区分1以上は「居宅介護」「ショートステイ」も利用可、区分3以上は生活介護も利用可、といった具合です。

どの判定となるかの目安が非常にわかりづらく説明がしづらいのですが、元認定審査員の方のブログなど参考にさせていただきました。

これによると、身体障害や知的障害の場合、区分はほとんどの場合2以上となるようです。

それどころか、5や6が出る方も多いとのことでした。

これは判定項目にある「身の回りの世話や日常生活等に関連する項目」について、「全面的な支援が必要」となることが多いからだそうです。

精神障害もついても、知的・身体障害ほどではありませんが、多くの人が2以上の判定となるようです。

長くなりましたが、ほとんどの障害のある方がショートステイは利用できる対象者になるということです。

ちなみに利用にあたっては1年ごとの更新が必要ですが、原則64歳まで利用可能です。(65歳以上は介護保険制度の短期入所サービスを利用します)

判定の詳細は厚労省HPを参照にしてください。

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ショートステイはどうすれば利用することができるか?

では、ショートステイを利用したい場合にはどのような手続きが必要でしょうか。

【ショートステイ利用手順】
1. 住んでいる市区町村の福祉担当窓口(もしくは子育て支援窓口)に行く
2. 窓口に利用申請書を提出 (申請書は市区町村のHPに掲載されていることが多いです)
3. 窓口で交付される利用計画書を相談支援事業者に渡し、計画書案の作成を依頼する
4. 調査員が訪ねてくるので、障害者支援区分が決定される
5. 出来上がった利用計画書案を市区町村の窓口に提出する
6. 支給決定、受給者証を受け取る
7. サービス事業者と契約を結び、利用を開始する。

契約を結んだあとはすぐに利用開始としたいところです。

しかし、契約したあとでも「慣らし」が必要なところもあるようで、私のTwitterのフォロワーさんから以下のようなコメントをいただきました。

ショートステイを利用するには子供が慣れる, また職員がその子の対応に慣れる必要があるため、1泊2日を月一回で利用を続けます
施設から「いつきてもOK」と言われると利用を開始することができます、

また、契約時にも説明がされるかと思いますが、連続利用は30日までと決まっています。

これはショートステイの目的を考えると仕方のないことだと思います。

この他、施設によって様々なルールがあると思いますので、まずは気になる施設に問い合わせてみるとよいと思います。

ショートステイの利用料はいくらか?

次に利用料金についてです。

料金は障害の区分に応じて1日ごとの基本料金が決まっていて、これにサービスを追加していくと加算されていく仕組みになります。

ただし、本人や配偶者、世帯の収入によって月の上限額が決まっています。

基本料金

調べた中でも時期や地域によって多少の違いはありましたが、一例として紹介します。

利用料金の1割を利用者が負担することになります。

障害支援区分利用料金利用者負担
区分2以下4,980円498円
区分35,700円570円
区分46,340円634円
区分57,670円767円
区分69,030円903円
一日利用した場合の料金。日中は通所支援など他サービスを利用する場合はこれよりも料金が下がります

加算料金

加算されるサービスには様々なものがありますが、いくつか代表的なものを挙げておきます。

加算名内容利用者負担
栄養士配置加算常勤の管理栄養士を配置し安全と衛生に留意し食事管理を行う場合に加算22円
短期利用加算指定短期入所の利用開始から起算して30日以内の期間について加算30円
送迎加算居宅等と事業所との間の送迎を行なった場合に加算186円
地域生活支援拠点等に係る加算地域生活支援拠点として位置付けた短期入所事業所において、短期入所を行った場合に加算100円

送迎加算など地域によっては大きな違いがありました。

これに3食の食事代 500円程度/1食 × 3、水道光熱費 500円程度 / 日がかかります。

ただし、食事代については低所得者の場合は減額されます。

この例ではどれも大きな金額ではありませんが、チリも積もれば大きくなりますので考えて選ばなくてはいけません。

負担上限額

ここまでご紹介したのが原則の料金になりますが、ショートステイは国が定める障害福祉サービスです。

そのため、利用者(世帯)の収入に応じて負担の上限額が設定されています。

【世帯の範囲】

種別世帯の範囲
障害児
(施設に入所する18、19歳を含む)
保護者の属する住民基本台帳での世帯
18歳以上の障害者
(施設入所する18、19歳を除く)
障害のある方とその配偶者

【利用の上限額】

区分世帯の収入状況負担上限額
生活保護生活保護受給世帯0円
低所得市町村民税非課税世帯(※1)0円
一般1 市町村民税課税世帯(所得割16万円(※2)未満)
(入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者を除く(※3)
9,300円
一般2上記以外37,200円
※1 3人世帯で障害者基礎年金1級儒教の場合、収入が概ね300万円以下の世帯
※2 収入が概ね600万円以下の世帯
※3 入所施設利用者(20歳以上)、グループホーム利用者は市町村民税課税世帯の場合は「一般2」
 令和5年2月現在 詳細は国土交通省HP

ただし、この上限額はs櫛サービス料金に適用されるものなので、食事代なので実費は別途かかります。

地域によっては未就学児のショートステイを含む障害福祉サービスが無償化となっているところがあるようですし、お住まいの地区の窓口やHPで確認してみるのが良いと思います。

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ショートステイはどのくらい利用されているのか?

ここまでショートステイの制度について紹介してきましたが、実際にどの程度利用されているのでしょうか。

まず、国土交通省が作成した児童福祉サービスの利用者数の推移を見てみましょう。

グラフの左から三番目、黄緑色が短期入所(ショートステイ)の利用者数です。

児童福祉サービス全体でみるとショートステイの利用者数は多くありませんが、令和元年の利用者数は57,000人で、平成27年45,000人から増加していることが分かります。

次に事業所数の推移を見てみます。

平成27年度の事業所数が4,000、令和元年が5,000となっています。

障害福祉サービス全体の伸び率と比較すると小さいですが、こちらも徐々にではありますが増加傾向が見て取れます。

最後に私のtwitterアカウントを利用したショートステイの利用状況がこちらです。

アンケート実施期間:5日間
対象者:私のアカウントのフォロワーさん、およびその周囲の方々
(多くのフォロワーさんは何かしらのかたちで障害に関わる方々です)

回答いただいた方は障害をもつ親御さんが中心になっていますが、利用したことがあるのは全体の約17%となりました。

障害の程度や家庭環境などによってショートステイの必要性は大きく変わってくると思います。

フォロワーさんでは小さなお子さんをお持ちの方が多い印象の中、私としては思っていたより利用割合が高い結果となりました。

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ショートステイの課題は?

ショートステイ制度の最大の課題は「利用したいときに利用できるとは限らない」という点だと思います。

理由のひとつは、先ほどもかきましたが、利用するには市区町村での利用手続き、事業所との契約、「慣らし」などが必要だというところです。

利用に向けた準備は計画的に進めていく必要があります。

もう一つ、こちらが大きな理由ですが、ショートステイの空き枠の問題です。

ショートステイを実施しているのは入所施設やグループホームなどが多く、施設の一部をショートステイとして利用したり、空き部屋があるときに利用するといった実態があります。

このため、全体として多くない部屋数が利用したいときにちょうど空いている、という状況が必要になります。

もちろん、予算や人手の問題もありますので無尽蔵にショートステイの数を増やすわけにはいきません。

事業所単独ではなく地域で連携して効率的な施設運用を目指すことが今後の課題となりそうです。

ショートステイを利用する?

ショートステイについてご紹介しましたが、最後に私がショートステイを利用するかについてです。

現在我が家の次男は5才、ダウン症児の重度知的障害児です。医療ケアが必要な合併症などは今のところありません。

これまでのところ、ショートステイを利用したことはありません。

これは奥さんが専業主婦であること、平日や一部の祝日も幼稚園やデイサービスにより次男が家を離れている時間が多いこと、などが理由です。

わが家と同じような状況だと利用したことがない、という方が多いのではないでしょうか。

しかし、今後も利用しないか、というと全くそうは思っていません。

将来的には利用できるように準備をしておきたいです。

次男が大きくなるにつれてどのような成長をするかは分かりませんし、それによって親の負担がどの程度大きくなるかは分かりません。

親の負担をどうしても軽くしたい状況はでてくる可能性はあります。

また、家族と離れて過ごす経験は子供たちにも新鮮でよい刺激、経験になるのではないかとも思います。

親は子供に対して責任をもつ、というのはその通りだと思いますが、あくまでそれは長期的な話です。

少し休憩、リセットするための仕組みとしてショートステイの利用は視野に入れておきたいと思っています。

まとめ

短期入所・ショートステイについてまとめました。

課題はあるものの、障害をもつ本人にも周囲にもメリットがあります。

子供から離れることは親としては躊躇してしまうこともありますが、その意味やメリットをよく理解したうえで、利用できる場面を考えていきたいと思います。

家庭や周囲の状況によって必要性は大きく変わりますが、この記事を読まれた方はどのように思われるでしょうか?

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