【2時間目】もしも「障害について」という授業をしてみたら、という話。

【2時間目】もしも「障害について」という授業をしてみたら、という話。 ダウン症のこと

ダウン症を中心に情報を発信して1年が経とうとしています。これは義務教育で障害について学ぶ時間が作られることを目標にしています。

以前、「1時間目」として障害が身近なものだと伝える授業をブログにしました。

今回はその「2時間目」として、障害についてわが身として考えてもらう、当事者としても意識をもってもらうための授業を考えてみました。

まだまだ試行錯誤ですが、今の私が授業をさせてもらえるとしたらこんな感じになると思います。

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2時間目の授業をはじめましょう

Mitsuo
Mitsuo

障害って特別じゃない、2時間目を始めさせていただきます。

1時間目では障害は自分の周りに当たり前にあるもので、

生活、日常のなかの一部です、ということを説明しました。
2時間目はもっと近く、皆さん自身のことを話していきたいと思います。

さっそく質問です

Mitsuo
Mitsuo

それでは、2時間目も最初は質問をさせていただきます。

今日のあなたは健常者ですか?

今更ですが、障害がある人を障害者、ない人を健常者という言い方をしています。

さて、どうでしょうか?

ほとんどの人が自分は健常者だと答えるでしょう。私もそう思います。

おそらく皆さんのほとんどが健常者です。

Mitsuo
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では、明日のあなたは健常者でしょうか?

ここでもほとんどの人がそうだと思う、と考えるのではないでしょうか?

これまでもそうだったように、明日も健常者だろう、と考えるのはとても自然です。

でも、こればっかりは誰にも分からないことです。

私も含めて誰もが明日、障害者になるかもしれません。

少し怖い表現になってしまいましたが、怖がらせるつもりはありません。

1時間目で学んだように、日常のありふれた障害の中に誰でも入る可能性があります、という話です。

Mitsuo
Mitsuo

さて、皆さんは障害と聞くといつから持っている?とイメージしますか?

生まれつき持っている、というイメージを持つ人が多いのではないでしょうか?

これを先天性障害、といいます。

障害、と聞いて、知的障害や精神障害をイメージする人はこの先天性障害を想像している人が多いと思います。

これと反対に、生まれた後の病気やけがによる障害を後天性障害といいます。

車いすなどの身体障害をイメージする人はこの後天性障害を想像しているのではないでしょうか?

Mitsuo
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つまり、今、自分が障害者ではないと思っている人は、

これから自分が障害者になるとすれば、後天性の「身体」障害者になる、ことをイメージしているのではないかと思います。

もっと踏み込むと、

大きなケガや病気をしなければ、若いうちは、自分が障害者になることはない、とイメージしているのではないでしょうか?

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障害の発生年齢を見てみましょう

Mitsuo
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では、その後天性の身体障害について少し詳しく見てみましょう。

これは少し古いデータですが、平成18年の厚生労働省発表の身体の障害発生時の年齢に関するデータです。

全体でみると、40歳以降で障害が発生するのが6割以上を占めています。65歳以上の発生に限っても24%程あります。

これを障害種類別でみてみましょう。少し、様子が変わってきます。

視覚、聴覚・言語障害、肢体不自由は3割程度が40歳までに生じています。

特に視覚障害は4割程度が40歳までに発生しています。

これをみると、年齢を重ねるほど身体障害が生じる可能性が高いと言えるものの、若いからといって障害とは無縁ではない、と思いませんか?

Mitsuo
Mitsuo

つぎに身体障害の原因を見てみましょう。

これは18歳未満の障害の原因を一覧にしたものです。

資料の文字が小さくてすみません。

Mitsuo
Mitsuo

まず、身体障害者の人数が約9万3千人です。

2021年、18歳以下の人口は約1800万人ほどだと思われますので、単純に考えると0.5%が身体に障害があることになります。

表は平成18年、15年ほど前の数字なので単純な比較はできませんが、イメージしてみてください。

200人に一人、通学の満員電車の中に一人は身体障害者がいるような計算です。

また、視覚障害、聴覚・言語障害の原因を見てください。

なんと「不明」が一位です。聴覚・言語障害にいたっては半分以上が不明ということになります。

肢体不自由に関しても原因不明が二位です。

障害について考えると時に、生まれつきでなければ本人の失敗、事故、病気によって障害を持ったはずだ、

と思う人もいるかもしれません。

実際は原因が分からないまま、障害をもつことが多いのです。

この障害者の人数と、原因が「不明」だけ見ても、少しイメージが変わりませんか?

Mitsuo
Mitsuo

つづいて精神障害の発生時年齢についてです。

精神障害ときくと、生まれつきの障害、といったイメージはないでしょうか?

この表はさきほどと同じく平成18年のデータです。

全体を見てみると、0~9歳の障害発生は11.2%に対し、10代で29.8%、20~39歳では最も多く37.3%となっています。

全然生まれつきではないですよね?

統合失調症、これは妄想や幻覚、感情が乏しくなる、記憶力・判断力が低下する、といった様々な症状がでる精神疾患で、

脳で情報を伝える物質のバランスがくずれることによって起きるものです。

少し難しいと思いますが、脳の働きが正常ではなくなっている、とイメージしてください。

原因は遺伝やストレスなど様々なものがありますが、まだはっきりしたものは分かっていません。

この統合失調症に関して言えば、発生するのは10代が最も多くなっています。

皆さんのような思秋期に、強いストレスを受けることにより精神が不安定になることが原因のひとつなのかもしれません。

今、大丈夫だからといってこれからも大丈夫とは言えない、ということが分かると思います。

Mitsuo
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最後に知的障害についてです。

こちらは発生時期についての良い資料がなかったので、言葉で説明します。

知的障害は精神障害以上に、先天性の障害、というイメージがないでしょうか?

確かに知的障害には先天的な原因があり、

生まれつきの代謝異常、生まれる前後の感染症、中毒や染色体異常が主なものです。

しかし、後天的に知的障害となることもあります。

外傷性の脳挫傷、感染症、例えば日本脳炎やポリオ、麻疹などに感染してひどくなるとと知的障害を引き起こすことがあります。

これらの多くは予防接種によりリスクを減らすことができますが、 その可能性がゼロになるわけではありません

Mitsuo
Mitsuo

また、先天性の知的障害がある場合も症状が軽いため気づいていない、ということもあります。

通常の生活をおくれているのであれば問題はないのですが、

大人になり、社会にでた後にうつ病などになったことがきっかけで知的障害が分かるということもあります。

つまり、今、障害があることが分からないだけ、ということもあるわけです。

障害のある方を対象にしたアンケート結果を見てみましょう

Mitsuo
Mitsuo

1時間目では障害は身近にあるものだということ、

2時間目ではここまで、障害は自分も当事者となる可能性が十分にあることを説明してきました。

さて、それらを踏まえて、見ていただきたいアンケートがあります。

2016年障害者差別解消法という法律が施工されたことをきっかけに、ある研究機関が実施した障害に関するアンケート結果です。

対象は身体・精神障害のある方でインターネット調査により326名の方が回答をしています。

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日常生活で差別や偏見は感じるか?

Mitsuo
Mitsuo

日常生活で差別や偏見を感じますか?という質問に

「頻繁に」「ときどき」感じる方を合わせて59%という結果になっています。

半数以上の人が「日常生活」において何かしら思うことがあるのです。

Mitsuo
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続いて、偏見や差別を感じたことがある場所についての質問です。

半数以上の方が職場、3割の方が公共交通機関に偏見や差別を感じています。 

職場で障害対する理解がなく、単なる不注意によるミスだと思われたり

視覚・聴覚障害や精神障害など、見た目では分かりづらい障害が誤解を生んでしまい、差別的な発言をされたケースが多いようです。

アンケートの結果を見る限り、大人たちが差別的な扱いをしているようです。

皆さんが今学んでいるように、私たち大人も学ぶ必要があります。 

Mitsuo
Mitsuo

次に、差別や偏見を受けた時、相談する相手について質問をしています。

半数近くの人が誰にも相談していない、と答えています。

理由は様々でしょうが、社会全体が障害に対して理解を示していないことを生活で感じているのだとしたら、

きっと誰に相談しても無駄なこと、とあきらめてしまっているのかもしれません。

悲しいことがあったときは相談する相手がいることで救われることもありますし、相談できる場所や人を増やす取り組みに少しでも私も関わっていきたいと思っています。

家族・友人・専門機関に相談している人もまだまだ少ないように思います。

Mitsuo
Mitsuo

最後に、法律の施行により差別の改善につながったかを尋ねています。

改善の効果を感じているのは1割程で、まだまだ改善を感じるには及ばない状況であることが分かります。

アンケートの実施が法律の施行から1年4か月ほど経ってからですが、

効果がまだ出ていないということになります。

これからその効果、制度がもっと広まっていくことはもちろん期待していますが、法律だけでなく、こういった教育や、障害者と交流をもつ機会がより状況の改善を加速させると思います。

ここまで見てきたアンケート結果を見ると差別の解消はまだまだこれからです。

さいごに。

Mitsuo
Mitsuo

このように、「障害がある」という事実だけで、偏見や差別を受けてしまう現状があります。

しかし、この2時間目で誰もが突然、障害者になるかもしれないことを説明してきました。

障害者になったからといって、別の人間になるわけでもないのに、突然、偏見や差別を持たれてしまうかもしれないのです。

これはおかしくないでしょうか?

誰が何か悪いことをしたわけでもないのに、嫌な思いをする人がいるのです。

すごく理不尽なことだと私は思います。

Mitsuo
Mitsuo

同じようなことを何度もいうようですが、

もう一度言わせてください。

障害者というだけど線を引く、

特別なものだと距離をおく、

健常者の方が強い立場だと考える、

これらはすごく理不尽な暴力だと思いませんか?

Mitsuo
Mitsuo

自分が障害者になることを少しイメージできたなら、

接し方をもう一度、ゆっくりと整理してどうか考えてみてください・

Mitsuo
Mitsuo

2時間目の授業はいかがだったでしょうか。
難しいところもあったかもしれませんが、何度か板書を見直して
自分の考えをまとめてみてください。

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