ダウン症は個人差があるものの筋肉の緊張が弱く、知的障害があるという特徴があります。ただ、これらの面については発達がゆっくりではあるものの出来ないままになることは少ない、という話もよく聞きます。
確かにその通りなのだと思いますが、子供の自然な成長のみでできないことが減っていくとは限らず、また、早くできるようになってほしいと誰もが思うのではないでしょうか。
そのために「療育」があります。
療育とは「治療+教育」と言われています。周囲の大人が環境を整え、劇的な改善が見られないとしても、昨日より前進するよう努めてあげるための取り組みです。
ダウン症は生まれて数日で障害があることが分かります。このため、他の多くの障害と比べて、より早く療育に取り組めるというメリットがあります。早くに療育を始めたほうがより効果的であるという研究結果もあるそうです。
ダウン症に限らず、障害について考える際に重要となる「療育」について、まとめてみました。
「療育」と「治療」の違いは?
そもそも「療育」とは何でしょうか?私も「障害」が身近になる時までこの言葉を知りませんでした。
「病気」に対して「治療」をするように、肢体不自由や発達障害といった「障害」に対しては「療育」を行います。
薬を飲んだり手術をしたりして治療することで病気を治します。
同様に、運動の補助をしたり、認知の手助けをしたりして療育することで障害を克服していきます。
療育の定義は様々あり、冒頭でも書いたように基本的には「治療+教育」なのだと思いますが、感覚として私は「少しの手助けをして、育ちをサポートすること」だと思っています。
療育は日常生活をスムーズに行えることを目標に幼少期からずっと続けていくことで、具体的な取り組み方法は様々な種類があります。が、あまり難しく考えず、特に幼少期の療育は「よく触れ合い、話しかけて、観察するを繰り返す」に尽きるのではないかと思っています。
これは健常の子に対しても同じことをすると思いますが、それを少し丁寧にやるイメージでよいと思います。
療育の方法はどうやって学ぶ?
療育というもののイメージは掴んでいただけたと思いますが、実際に療育はどこで学ぶものでしょうか?
方法は大きく分けて、「自分で学ぶ」、あるいは「教えてくれる場所にいく」の2つに分けられます。
現在は療育に関する書籍がたくさんあり、自分でもかなり学ぶことが出来ると思います。しかし、私は「教えてくれる場所にいく」ことをお勧めしたいと思います。
理由は「情報がアップデートされるため」と「人脈ができるため」です。
書籍ではまとまった情報を効率よく学ぶことが出来ますが、情報が古くなってしまっている可能性があります。情報を教えてくれる場所には専門家がいるため、最新の情報にふれられる機会が増えます。
また、同じ境遇の家族や、様々な障害にふれてきた専門家との交流が持て、障害によって感じてしまう閉鎖的な感覚から逃れることが出来ます。こちらが最大のメリットだと思います。
教えてくれる場所は、地域の療育センター、発達障害者支援センター、リハビリテーションセンター、小児療育センター、福祉センターなど様々あります。インターネットで検索すると最寄りのセンターが出てくると思いますので、問い合わせをしてみてください。
療育の方法は誰から学ぶ?
病院の先生や療育センター・リハビリテーションセンターなとでPT(理学療法士)、OT(作業療法士)、ST(言語聴覚療法士)の方から効果的な療育方法を教わります。
PT (Physical Therapy) 理学療法士
主に身体に障害がある人、もしくは身体の成長に遅れのある人向けに、日々の生活ができるように指導してくれる方です。生活での「基本動作」の回復、習得が担当になっています。
私もハイハイにつながるための運動や、歩行のための訓練など習いました。
OT (Occupational Therapy) 作業療法士
主に「複合的な動作」の回復、習得が担当です。PTと区別しにくい部分がありますが、服の着替えや入浴など、すこし複雑な動きの指導をしてくれます。
私はPTさんとOTさんの区別がなかなか分かりませんでした。今でも時々間違えます・・。
ST (Speech Therapy) 言語聴覚療法士
主に「音声・言語・聴覚機能」の維持向上が担当です。口腔に関する知識が深いので、摂食や発話だけでなく、口腔(虫歯)のケアや誤飲対策なども学ぶことが出来ます。
こういった方々から療育の方法を学び、更にこれに加えて書籍などを読んでみるのが効果的かと思います。
これらで学んだ方法を家族で根気よく実施していくことが療育のポイントになっていきます。
療育はどんなことをする?
それぞれの子供の状態に合わせて考えていくことなので、必ずこうする、といったセオリーはありません。先生達とよく相談しながら決めていくのがよいと思います。
いずれにしても劇的な変化が出るわけではありませんので、早い段階から根気よく、楽しみながら続きていくのがポイントです。
参考程度に私たち家族がこれまで実施したものをいくつか書いておきます。これは療育か?というものもありますが、何かの力が育てば全て療育です。いいんです、療育です。
・ベビーマッサージ
可能であれば素肌にふれ、体をまんべんなくマッサージしていきます。人が触れることで脳に刺激がいくことが目的なので、強く力を入れる必要はありません。
我が家では歌を歌いながら、触れる場所の名前を言いながら、足から頭の方へ、仰向けからうつ伏せへ前進を毎日やっていました。うつ伏せは最初は難しいですが、赤ちゃんの体調を見ながら、早くからはじめらることがベビーマッサージのメリットだと思います。
・寝返り、音が鳴ったほうを向く
首がすわってきたら、仰向けから横向けに転がし、音のしたほうを向かせるようにしていました。声を出して呼んでもいいと思います。首が少し不安定であれば、顎を支えてあげるといいです。
・ひもの両端にドーナッツ型のおもちゃをぶら下げてぶらぶらさせる
認知力の向上というとかなり大げさですが、0歳の前半からやっていました。ものに気付いて、見る、目で追うことで刺激が行くかと思って実施していました。かなり次男は楽しんでやってくれていて、片方だけ動かすとそちらに手を伸ばしたりしていたので、効果があったのではないかと思っています。
・体を動かすサポートをする
少し月齢が進んで動きが出るようになったころに、時期に応じて必要な動作の補助をしてきました。といっても大したことはしていないのですが、意識してやっていたのは、
・座る練習で子供を座らせて腕や腰を支えてサポートする
・ハイハイの練習で、ハイハイの姿勢を取らせ、腰をおさえ、足も広がらないように姿勢を作ってサポートする
・歩く練習のために、バランスボールに手をつかせ、ゆっくり押して補助をしながら歩く
といったことを少しずつやりました。バランスボールは今や長男の運動不足解消グッズです。
その他、おもちゃをつかった遊びや食器をつかった食べる練習など今でもいろいろやっています。
やっていて思うのは、やはり健常の子もやることを少し丁寧な補助をつけて根気よくやるイメージだなということです。
他にもモンテッソーリメソッドなど最近聞くようになったものも多数ありますので、調べながらご自身にあったものを探してみるとよいと思います。
最後に。
療育は程度の差はあっても長い期間をかけて実施していくものになります。
繰り返しになりますが、なかなか変わらない、進まないもどかしさがあると思いますが、「生活」が「訓練」になってしまわないように、楽しみながら遊びながら実施していくのも大事なコツなのだと思っています。